その日、その時間、僕は太陽の側を向いていない小さな窓から、曇り空を見ていた

今日まで、どうしても外せない仕事に追われていた。どうにもならなかった。その結果がタイトルの体たらくである。
東京では75%の食だ。これでは空が暗くなるなどといった、明らかな変化は、顕れない。

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★ 皆既日食 【2ちゃんねる画像・実況】 総まとめ ★:ニュー速VIPブログ(`・ω・´)


嘲笑っている奴は分かっていない。何も分かっていない。
(俗っぽく、金額を問題にするなら)34万円でツアー参加者が得ようとしたものは「皆既日食の観察」じゃない。
「場所を動かずに、直接、最長時間、皆既日食を観察することへの『挑戦権』」なのだ。
そして彼らのほとんどは、それを納得ずくで参加しているのだ。
なぜなら、日食も天候も、人の手の及ばないものであり、その意味で等価値だからだ。


うらやましい。
僕は本気でうらやましいのだ。
僕も挑戦権を得たかった。
雨に降られながら、雲の向こうで繰り広げられている天体ショーを想像したかった。
嵐の中、急速に空が色を失い、やがて6分間と少し、常識ではありえないはずの暗闇に身を溶かしたかった。
それはきっと、世界の終末のような光景ではなかったか。


僕はそのスタートラインさえ立てず、東京でいつもと変わりのない、曇り空を見ていた。
そんな自分の不自由さを自嘲するだけ。それだけが、今回の日食でできた、ただ一つのことだった。