HanPannaさんへ。

id:HanPannaさんの、

不審者と疑わるのは男特有の問題でないのに「男性が傷ついてもどうでもいいから女性が守られるべきってのが社会の総意」は被害妄想ですよ。お気持ちで誰かに防犯を躊躇させ結果的にその人が殺されたら責任とれんのか - HanPanna のブックマーク / はてなブックマーク

への返信です。ブックマークコメントの100文字では足りないので、こちらを使います。

――ここから

被害妄想だろうが増田がつらかったのは事実でしょう。
同時に増田は、「けど、そりゃ女性からしたら夜道歩くだけで怖いよなとも思うしさ、お互い様」で、どちらもそのつらさを認め合える社会ならいいねって、言っているのだと思います。
そんな素朴な思いの吐露に対し、全体ではなく文章の一部を切り取って、
「何様だよお前は」
「責任とれんのか」(これは私に対する言葉なのか、増田に対する言葉かは分からなかったのですが)
といった強い言葉で牽制・封殺してしまうのは、何というか、悲しいんです。
また、
「お気持ちで誰かに防犯を躊躇させ結果的にその人が殺されたら責任とれんのか」
などと言い出したら、
「あなたのこの文章を読んだ人が萎縮して、社会が嫌になり、自殺したら、責任とれんのか」
とか、いくらでも言えますよ。

(午前8時追記:大事な一文を抜かしていたので、すみません、追記します)そもそも、増田は「女性は防犯しないでください」なんて一言も言っていません。

 

でも、やめましょうよ。
私はあなたと対立したいわけでも、なんでもない。

増田が一番言いたかったことは、
違う立場の人間が、対立するのではなく、
お互い理解を示しあえるような世の中ならいいねって、
争っても何も無いって、
歩み寄っていこうよって、
そういうことだと私は読み取りました。
そんな増田の文章が発端になって、見る人によってはHanPannaさんと私がまるで対立しているかのような言葉を書き連ねてしまっては(前述の通り、私はHanPannaさんと対立なんてしたくない)、増田の思いを踏みにじるようで、つらいんです。

お互い、もう、やめませんか。

またマナー講師がろくに確認もしないやつらからばっちりを食らってる

訃報があったので喪服について調べたらマナー記事「パンツスーツは非常識」がヒットしまくった話…葬儀屋や服屋から「問題ない」の反応続々 - Togetter

[B! マナー] 訃報があったので喪服について調べたらマナー記事「パンツスーツは非常識」がヒットしまくった話…葬儀屋や服屋から「問題ない」の反応続々

大元の方は、実際に「喪服 パンツスーツ」で検索して、「家族葬や通夜以外は非常識という記事めっちゃ出てき」たのだろう。
そこで、大元の方がどういう環境で検索したかは分からないが、標準的と思われるgoogleで「喪服 パンツスーツ」を検索してみた。

人によって検索結果は違うという話も聞くので何とも言えないが、自分の環境で5ページ目まで確認したところ、パンツスーツの喪服を販売するサイトが多く、次に「喪服にパンツスーツはアリか?」のような記事も出てきた。
(今だと、このtogetter関連の記事がたくさん引っかかってしまう)

その中には、確かに、パンツスーツはNGと書いているものもあった。
だが、その執筆者を見ると、「終活ビジネスコンサルタント」とか「葬祭ディレクター」、あるいは署名のない記事であり、マナー講師がNG・非常識と言っている記事は見つからなかった。

そこで次に、
「喪服 パンツスーツ "マナー講師"」で検索した。
すると、リンクが表示されたのは35件。
ただしその多くは「マナー講師はパンツスーツNGと言うが(そんなことはないだろう)」云々といういうものであり、マナー講師の解説ではなかった。

マナー講師と認識できたのは以下の5件。
ざっと読んで分類すると…。

〇特に問題ない派
松原奈緒美氏https://www.tescom-kireilab.jp/items/7030/
やまだ理沙氏https://latte.la/column/52713052
花井美代子氏https://ameblo.jp/menokansa/entry-12637101475.html

〇許容派
金森たかこ氏https://otonanswer.jp/post/27636/ 

〇特定条件で確認しておく派
尾形圭子氏https://st.benesse.ne.jp/ikuji/content/?id=68516

(個人的には、確認なんて必要なの?と思うぐらいのレベルである)

 

ということで、NGと明言しているマナー講師はいなかった。

あまり積極的にマナー講師を擁護したくないし、実際、どこかには「パンツスーツはNG」と言っているマナー講師がいてもおかしくないのだけれど、人を非難するときは、脊髄反射で「失礼クリエイターだからどうせ非常識とか言っているんだろう」などと決めつけず、せめてこれくらいは確認してからでもいいのではないかと。

(いうまでもないが、別に確認できたらいくらでも非難してもいいという意味ではない)。

※なお、女性のパンツスーツは葬儀ではマナー違反?!【葬儀・お葬式・喪服】 - YouTubeの説明文には
「今回はTwitterで話題になっていた、女性のパンツスーツについてです!/とある女性がマナー本を読んでいたら、パンツスーツがマナー違反と書かれていたそうで」とあり、この文章の通りならば、マナー本にパンツスーツはマナー違反と書かれていたのだろう。
ただ、該当しそうなtweetが確認できず、実際にそれがマナー本だったのか、また、マナー講師が書いた本だったのかは分からなかった。

まつもと泉先生について、とりとめもなく書いてみる

www.comic-on.co.jp

+ サイキンのまつもと +

悲しい。『きまぐれオレンジ☆ロード』は、ストーリーと全く関係ないけれど雰囲気は分かるタイトルの最高峰と思う。この漫画の影響で中学生になるとカフェバーでバイトして友達と酒飲むものと思ってた。ほか…文字数

2020/10/13 07:39

b.hatena.ne.jp

ブックマークのメモでは文字数が到底足りなかったのでこちらに書く。

ほとんどは『きまぐれオレンジ☆ロード』の思い出になるのだけど。

 ネタバレ多数含む。

 

【『きまぐれオレンジ☆ロード』について】

・春日恭介は超能力をただ自分の欲(とりわけ三角関係を維持するためだったり、鮎川まどかにいい顔をするためだったり)を満たすためだけにしか使わない「中学生~高校生ののび太」だということに気づいたのは少し後になってから。
・春日のセリフで一番好きなものは「二人だけでウッシッシ」。何だよウッシッシって。大橋巨泉か。
・でも欲望丸出しのこのセリフは友人間で流行した。
鮎川まどかは元伝説の不良で普通にタバコも酒もたしなむ中3、だけど立ち位置としては清純派という、今思えばわけの分からないキャラクターだった。
・結果としてタバコはやめたけれど、春日と出会っていなかったら、吸い続けていたよね。
・タバコをやめたきっかけは、春日に「丈夫な赤ちゃんが産めなくなる」みたいなことを言われたから。初対面の女の子(本当は初対面じゃないけれど)に言う言葉じゃないよ春日。
・素直にやめる鮎川。
・でも酒はやめない。
・結果として読者、というか小学生当時の自分に「タバコは体に悪いけれど酒は問題ない」という誤った認識を植え付けることに。
・ついでに、「中3にもなればカフェバーでバイトして酒を飲むものなんだなあ」という誤った認識を植え付けることに。
・檜山ひかるは不遇な子だった。今のラブコメならば、ウザさを抑えてもう少しけなげに描くんじゃないだろうか。
・そういえばこの子も最初はタバコ吸ってたな。
・1年前はランドセル背負っていたとは思えない。
・自分が春日だったら、取りあえずひかると付き合っちゃうな。「自分を好きになってくれている(と誤解した)人を、好きになる」ことって、結構多いと思う。
・鮎川とは、ひかると別れた後に付き合えばいいだけだし。
・最初のころだったか、くるみが一人でぶらついたことを「ネギしょったカモがICBMで飛んでいったようなもの」みたいに表現していたのはセンスの塊だと思った。
・最終盤だったと思うけれど、まつもと泉先生をモデルにしただろうバンドが出てきて「俺は地獄の××××」「お前に不幸の手紙(ラブレター)を書いてやる」「夜明けのユンケルもう1本」とかいう感じの歌詞と「ドボーン」「ギャボーン」「ズガボーン」というドラム音?が強く印象に残っている。やっぱりセンスの塊だよ。

 

【『きまぐれオレンジ☆ロード あの日にかえりたい』について】

・「『きまぐれオレンジ☆ロード』の世界を知っている」という条件付きにはなるけれど、個人的には邦画史上最高傑作。
・『きまぐれオレンジ☆ロード』が「中学生~高校生のドラえもん」ならば、『あの日にかえりたい』は「ドラえもんが未来の国へ帰った後のドラえもん」であり、恭介は超能力=ひみつ道具を失ったのび太
・「主人公は超能力を使える」という、原作中で最重要のギミックをあえて外すことで、超能力による三角関係維持の帳尻合わせや予定調和をさせず、青春の終わりの痛みを描ききった。
・作中、鮎川と春日は、ひかるが指摘するように「ズルい」し、冷たい。けれど、未成年の子なんて、本当はこんなものだと思う。
・幸せになろうとする鮎川と春日。「姉」と「恋人」を失い、ただ叫び、泣き濡れるばかりのひかる。その対比は残酷で、ある種ぶざま(ひかるがぶざま、という意味ではなく、この関係性がぶざま。相対的によりぶざまなのは、春日と鮎川)だけど、でも、青春ってそういうものなのだと思う。
・作者のまつもと泉先生は、『あの日にかえりたい』があまりお好きでなかったと聞く。
・それは無理もないと感じる。
・国内でDVD化されていないのも、そのせいかと思う。
・『あの日にかえりたい』は、何も『きまぐれオレンジ☆ロード』の世界で描く必要はなかったのでは、という批判を見かけた記憶がある。それも一理あるだろう。とはいえ、3人の関係性をゼロから描いて、かけがえのない存在にまで高めてから、あのような展開に持ち込むには、何時間の尺が必要だろうか。先生が築き上げた『きまぐれオレンジ☆ロード』という強固な世界が前提としてあるから成立した話だとは思う。
・自分は、『きまぐれオレンジ☆ロード』という、理想のような青春の箱庭から登場人物が出て行くことで、逆説的に、彼らが伝説となり、輝いた存在になったとも思っている。
・恋をして、愛して、傷ついて、壊れる話が好きになったのは、間違いなく『あの日にかえりたい』のせい。

 

【その他】
まつもと泉先生、ロックがお好きだったよな。
・先生がドラムを叩いたLPを持っている。一度も聞いていないけれど。そもそもレコードプレーヤーを持っていない。
・『ハート オブ サタデーナイト』という中編が面白かったという記憶は残っている。

 

まつもと泉先生の描く、かわいくて可憐でちょっと意地悪で、「どこかにいるのでは」と思わせる、質量のあるキャラクターが大好きでした。どうぞ安らかにお眠りください。

友人が托卵されてしまった話

anond.hatelabo.jp

就職したのちも二人は付き合っていて、そのまま結婚するのだろうと思っていたのだが、友人は職場の後輩の女の子結婚することになった

よくよく事情を聞くとその後輩の女の子から相談があるので」と言われ飲みながら話を聞いていたら「ずっと好きでした」と告白され、

彼女いるの知ってますけど今日だけでいいからとホテルに誘われ、ゴム着けないまま彼女に上に乗られ中出し妊娠という流れらしい

たった一回で妊娠ってのも運が悪いなあと思うのだが、

 

友人がほぼ同じパターンで、本命の彼女と別れて、職場の後輩と結婚した。

ただ違うところは、おなかの子が、(生物学上での)自分の子ではなかった、ということ。

友人の資産目当てなのか、何らかの事情で生物学上の父親と結婚できないからなのかは知らないが、その後輩は、どうやら妊娠を確認してから、友人をベロベロに酔わせてホテルへ連れ込んで性交渉に持ち込み、あのときの行為で妊娠した、責任を取ってほしい、と詰め寄ったようだ。

(実在するなら)増田の話に出てくる友人も、(実在する)同じシチュエーションで結婚した/結婚を迫られている人も、その子どもは本当に自分の子なのか、そういうことが気になる性格なら、疑った方がいいのかも。

 

友人の話に戻すと、生まれてきた子に罪はないし、なんだかんだいっても子どもはかわいいしで、離婚もせずそのまま自分の子として育てている。そのうちに(おそらくは)実子である第二子も生まれた。きょうだいで扱いを変えるということもなく、家族4人で仲良く暮らしているようだ。

 

……というと、まるでいい話のようだが、友人は結婚後も本命の子と関係を持ち続け、奥様にバレてかなりの修羅場になったらしい。よくやるよ。友人も、その本命の子も。

 

 

 

2019年 ブックマークコメントに影響されて買ったもの(画像悪い)

簡単に並べるだけ。

灰と幻想のグリムガル
ラノベファンタジーの問題って

そういうラノベ紹介してくれって奴か。グリムガルはいいぞ

2019/10/10 09:34

b.hatena.ne.jp

そういうラノベ紹介してくれって奴か。グリムガルはいいぞ - sds-pageのコメント / はてなブックマーク

「グリムガルはいいぞ」へえ。買ってみよう。『灰と幻想のグリムガル』でいいのかな。/4巻からしかなかったので、後で1巻から買う。/買った。読み始めた。/2巻も買った。

2019/10/10 10:06

b.hatena.ne.jp

f:id:Ri-fie:20191231084728j:plain

Level14+まで読んでしまった。画像悪ぃな。

 

noirサウンドトラック
アニメの一番好きなBGM教えて

やはり梶浦由記出世作『NOIR』は衝撃だったな。 <a href="http://animestyle.jp/2017/11/14/12489/" target="_blank" rel="noopener nofollow">http://animestyle.jp/2017/11/14/12489/

2019/11/22 23:12

b.hatena.ne.jp

やはり梶浦由記の出世作『NOIR』は衝撃だったな。 http://animestyle.jp/2017/11/14/12489/ - whkrのコメント / はてなブックマーク

whkrさんの挙げてくださったページで、サントラアルバムがあることを知り、即購入しました。canta per me、特に25話のそれは、シーンとともに忘れられません。ありがとうございます。

2019/11/23 08:11

b.hatena.ne.jp

f:id:Ri-fie:20191231084635j:plain

現物が欲しかったので中古を探した。本当は新品が欲しかったのだけど。しかし画像悪ぃな。

 

○正直不動産

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[B! 不動産] 不動産屋ってどこまで嘘ついてるの?

何だこれは元増田をネタふりとする『正直不動産』のステマステマなのか!??こんなに気にならせてどうすんだよ買うしかないじゃないか。/買った。おもしれーわ。

2019/12/04 17:39

b.hatena.ne.jp

f:id:Ri-fie:20191231084829j:plain

26日発売の7巻も買った。ほんと画像悪ぃな。

 

○その他

他にもはてなブックマークはてなブログを通じて購入したものはたくさんあるはずだけど、とりあえずブックマークコメントに残していたところから。

<疑わしきは被告人の利益に>の原則(刑事訴訟法336条&白鳥決定)がなぜあるのかわからない人は「もしも世界に法律がなかったら」を読もう - 頭の上にミカンをのせる

まあそうだね。/『もしも世界に法律がなかったら』さっそく後で買いに行こう。/買った。

2019/05/22 11:05

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『涼宮ハルヒ』シリーズが角川文庫で刊行!「別物みたい」そして、いとうのいぢ先生の表紙じゃないことで「大丈夫?」などの声も - Togetter

おー、買おう。

2019/01/25 18:23

b.hatena.ne.jp

写真は載せない。どうせ画像悪ぃので。

涼宮ハルヒは、流行当時、どうしても絵柄が受け付けられずに、アニメともどもスルーしていたのだけど、面白ぇわ。ようやく追いつけたけれど、何か十数年分損した気分。

 

2020年もどうぞよろしくお願いします。

恋はしょうがない 『不倫サレ日記。』と『永遠の野原』

恋は傷つき、傷つくもの

id:tyoshikiさんが、次のようなtogetterまとめを作成していた。

togetter.com

他の人の感想も読んでみたかったのですがtwitetrで検索しても出てこなかったので、サイゾー特集をきっかけにほかの人の感想も読んでみたいなと思います

 

とあったので、簡単に書いておきたいと思う。

 

『不倫サレ日記。』に関しては、ブックマークコメントなどへ感想を残しているので、まずはサルベージしておく。

「不倫サレ日記。」/「あめ子」のシリーズ [pixiv]

(フェイクでないなら)15と16からか…/こういう、今日も明日もどこかで起こっているであろう、市井の他人の修羅場の話って、申し訳ないが大好きだ。結婚式の映像と「これ 値下げ代」「…はい」の下りはぐっときた。

2018/07/13 12:54

b.hatena.ne.jp

[B! 男女] 「不倫サレ日記。」/「あめ子」のシリーズ [pixiv]

この物語の視点だけで見れば、元夫はアレだが不倫相手を責める気にはあまりなれない。(フェイクでなければ)20歳なんてこんなもんだ。周囲を不幸にしてまでつかんだパートナー、お互い添い遂げ幸せになってほしい。

2018/07/13 18:52

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#オリジナル 不倫サレ日記。書籍化お知らせ - あめ子のマンガ - pixiv

「全文読んで頂いた後でも楽しめる読後感の良い感じに」あら。あの、ハッピーエンドも何もない、作者も元夫も不倫相手も今後ただ人生だけが続いていく、生きるという行為そのものという感じのラスト、好きだったが。

2018/07/31 12:32

b.hatena.ne.jp

【オリジナル】「不倫サレ日記。9/14発売です。」漫画/あめ子 [pixiv]

&quot;友人、知人、お会いした一部の方に「もっとやればよかったのに」「甘すぎる」と言われることがあるのですが&quot;。できないし、しなくていい。本人も元夫もその相手も、ただ人生を続けていくだけでいい。皆お幸せに。

2018/09/24 10:59

b.hatena.ne.jp

見ての通り、何かにかこつけて、4回もコメントしている。それだけ自分の心の柔らかい部分をえぐり取った、「何か言葉を残したくなる」作品だといえる。

ストーリーとしては、確かに元夫と不倫相手に腹立たしさも感じなくはないのだけど、他のブックマークコメントにあるような、元夫と不倫相手の不幸を願う気にはなれなかった。

b.hatena.ne.jp

というのも、結局のところ、自分の中に「恋はしょうがない」という、諦念みたいなものがあるからだ。

ほとんどの人は、誰かに恋をし、恋をする中で、その相手や、周囲の人を巻き込み、振り回し、傷つけ、傷つき、あるいは傷つけたことに対して今も取り除けない後悔を持ちながら、生きているのだと思う。

何なら、恋人がいるのに他の人を好きになって、別れを切り出した、という人も多いだろう。それどころか、二股かけて、乗り換えがうまくいくことが確定してから分かれた、という人も大勢いるはずだ。

誰も傷つかず、傷つけずに恋をするなんて、できない、と自分は確信している。

 もちろん、恋人は突然の別れ話に傷つくし、二股された結果なら怒りもする。

『不倫サレ日記。』ならば、結婚という契約をしておきながら、その契約に背くことをするなんて…という、理性に基づいた批判も可能だ。そしてその批判は全くもって正しい。

でも、恋心というのは、そういう契約や理性とは違うところで動物的に働いていて、そのこと自体は、どこかしょうがないところがあるのだとも思っている。

しょうがないからこそ、作者はもちろんのこと、元夫と不倫相手のきゃりーちゃんには「周囲を不幸にしてまでつかんだパートナー、お互い添い遂げ幸せになってほしい」と、心から願っている。

エンドマークの後も続く、ただ生きるという行為が人生そのもの

もう一つ、『不倫サレ日記。』がどうしても心に残るのは、「人生は生きている限り続く」という身も蓋もなさだ。

柴門ふみだと思うのだけど、映画『卒業』について、概ね次のような言葉を、確か漫画の登場人物にしゃべらせていたのを記憶している(柴門ふみペンネームの由来はポール・サイモンだし、間違えていないはず)。誰にしゃべらせていたかは忘れた。ただ、女性だったと思うので、女性っぽい言葉にしている。

「あのシーンでエンドマークが出るからいい話なの。現実の二人は、その後何でもないつまらない日常をただだらだらと過ごすのよ」

『不倫サレ日記。』は、その話の展開上、当然なのだが、夫婦の離婚(きゃりーちゃんにとっては、ダーリンの略奪に成功)で最高潮を迎えることになる(ただし、そのシーンは淡々としているけれど)。

その後、若干のエピローグを入れて漫画も終わるのだけど、実際には、その後、作者も、元夫も、きゃりーちゃんも、死ぬまで日常生活というドラマを続けなくてはいけない。

元夫もきゃりーちゃんも、卒業よろしく、いろんなものを振り切り、捨ててまで一緒にっなて、ラブラブな日もあるだろう。けれど一方で、一緒に過ごしていればケンカもするし仲違いもすることを、誰もが経験則として知っている。

そういう、(いい意味で)つまらない、ただの日常をこれから過ごしていく、その生きるという行為そのものが、『不倫サレ日記。』のラストから感じられて、どうしても忘れられないのだ。

 

傷つく恋を読みたいならば…

傷つく恋を読みたい。そんな方には『永遠の野原』がおすすめ。

自分も大好きな作品だ。

www.amazon.co.jp

アフィリエイトリンクではないと思う(そもそも自分は登録していない)。

作中、とある主要登場人物が、傷つけ、傷つくだけの恋をする。

その痛々しさと、恋のどうしようもなさは、今も忘れられない。

だが、おすすめ理由はそれだけでなく、青春とか恋とかの機微を、さまざまな立場と解釈から描いている名作だと思う。

分かる人にだけ届けばいいおまけ

○自分は野沢派ではなくマリコさん派だったが、当時、周囲の女性たちはことごとく野沢派で、「マリコが好きだなんて…」と軽く引く人もいた。

永遠の野原』を追ってこんな辺境の地までたどり着いたあなたは、どちら派だろうか?

○前述の「主要登場人物」が恋をした相手も、「主要登場人物」を好きだったと解釈している。このあたり、意見が結構分かれているようだ。

永遠の野原』を追って(ry

○おまけついで。

kentei.cc

 

 

 

映画テン年代ベストテンに寄せて

washburn1975.hatenablog.com


この投票に参加いたします。

 

1位(10点) 鍵泥棒のメソッド(2012、内田けんじ監督)
1位(10点) ガールズ&パンツァー 劇場版(2015、水島努監督)
1位(10点) シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション(2019、フィリップ・ラショー監督)
4位(7点) シン・ゴジラ(2016、庵野秀明監督)
5位(6点) グランド・ブダペスト・ホテル(2014、ウェス・アンダーソン監督)
5位(6点) 君の名は。(2016、新海誠監督)
8位(3点) マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015、ジョージ・ミラー監督)

10位(1点) イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(2014、モルテン・ティルドゥム監督)
10位(1点) この世界の片隅に(2016、片渕須直監督)
10位(1点) バクマン。(2015、大根仁監督)

 

 

「緻密な構成で張り巡らせた伏線を回収する映画」か、「何も考えなくてただ楽しい映画」か、どちらかに振り切った作品が好きです。愛しています。ということで、同企画の告知を見た時点では、『鍵泥棒のメソッド』と『ガールズ&パンツァー 劇場版』が同点1位でした。
ところが、11月末に公開された『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』を観てしまったため、大いに悩むことになりました。

『史上最香のミッション』、映画自体も、バカなくせに構成もしっかりしていて、純粋にエンタメとしても楽しめるし、「シティーハンター」のストーリーとして見ても、全く違和感がない。
その上何より、ラショー監督の「子供のころに見て大ファンになったアニメを、監督オレ、脚本オレ、主演オレ&ヒロインは自分のパートナーで実写化しちゃうぞ!」という映画バカ的な思いが、狂おしいほどに好きなんです。
観に行った回は、単なる通常上映なのに、終了後、拍手が巻き起こりました。そんなに映画を観ているわけではないけれど、拍手が起こった場に出くわしたのは、『ラヂオの時間』以来(多分これは、三谷幸喜の舞台を観た後の感覚で拍手した人が多かった、という理由だと思う)でした。
アルバトロスの配給作品を1位にしていいのだろうか、という葛藤で最後まで悩んだのですが、面白いと思ったものを面白い、と言わなければ、何を面白いというのか、分からなくなってしまう。結果、同率1位で3作品を並べることとなりました。

ガールズ&パンツァー 劇場版』は、何も考えない系の1位にしました。ストーリーなんてどうでもいい、無限軌道がきしみ、大砲がうなる、ただそれだけでも楽しく、気持ちいい映画体験ができることを教えてくれる傑作でした。

伏線回収系では、『鍵泥棒のメソッド』を1位にしました。どうしても1位は1本というなら、これが1位でした。内田けんじ監督は『運命じゃない人』『アフタースクール』を経て、脚本だけで引っ張るのではなく、役者の持ち味をも存分に引き出すディレクション力を身に付けて、完成期に入ったと思います。新作を最も待ち望んでいる監督です。

以下、簡単に。

シン・ゴジラ』は、「過去作でゴジラに蹂躙されてきた東京」と「現代に実在する東京」という2つの背景を壮大な伏線として使い、「(血液凝固剤を除いて)今あるものでなんとかする」精神で回収していく(その象徴が「無人在来線爆弾」)という意味で、伏線回収系として大傑作だと捉えています。

グランド・ブダペスト・ホテル』は、ウェス・アンダーソン監督の、偏執的なまでに緻密で計算された画面構成と、どこか抜けたストーリーとのバランスが完璧(ストーリーも緻密すぎたら息苦しくなる)。

君の名は。』はすさまじい映画でした。話はめちゃくちゃ。細部も穴だらけ。なのに、ただ「あなたのことが強烈に好きだ」という主題一点だけで押し通してしまった。

マッドマックス 怒りのデス・ロード』は、思考を停止しても面白い、いや、思考を強制的に停止させられる、純粋な面白さがありました。

 

10位の3作品は割愛しますが、『シティーハンター』が入った代わりに落としたのは『カメラを止めるな!』でした。