あがたオタが非オタの彼女にあがた世界を軽く紹介するための10作品
アニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10本
まあ、どのくらいの数のあがたオタがそういう彼女をゲットできるかは別にして、
「オタではまったくないんだが、しかし自分のオタ趣味を肯定的に黙認してくれて、
その上で全く知らないあがた森魚の世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」
ような、ヲタの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼女に、あがたのことを紹介するために
聴かせるべき10曲を選んでみたいのだけれど。
(要は「脱オタクファッションガイド」の正反対版だな。彼女にあがた森魚を布教するのではなく
相互のコミュニケーションの入口として)
あくまで「入口」なので、金銭的に過大な負担を伴う100枚*1、300枚*2、250セット+α*3の限定盤は避けたい*4。
できれば1曲、長くてもアルバム1枚にとどめたい。
あと、いくらあがた的に基礎といっても古びを感じすぎるものは避けたい。
岡林信康好きが『山谷ブルース』は外せないと言っても、それはちょっとさすがになあ、と思う。
そういう感じ。
彼女の設定は
邦楽フォーク知識はいわゆる「中島みゆき」的なものを除けば、伊勢正三程度は聴いている
サブカル度も低いが、頭はけっこう良い
という条件で。
まずは俺的に。出した順番は実質的には意味がない。
赤色エレジー(乙女の儚夢)
まあ、いきなりここかよとも思うけれど、「四畳半フォーク以前」を濃縮しきっていて、「あがた版大正ロマン以後」を決定づけたという点では
外せないんだよなあ。長さも5分54秒だし。
ただ、ここでオタトーク全開にしてしまうと、彼女との関係が崩れるかも。
この情報過多な作品について、どれだけさらりと、嫌味にならず濃すぎず、それでいて必要最小限の情報を彼女に
伝えられるかということは、オタ側の「真のコミュニケーション能力」の試験としてはいいタスクだろうと思う。
百合コレクション(ヴァージンvs:羊ヶ丘デパートメントストア)、冬のサナトリウム(乙女の儚夢)
アレって典型的な「オタクが考える一般人に受け入れられそうなあがた曲(そうオタクが思い込んでいるだけ。実際は全然受け入れられない)」そのもの
という意見には半分賛成・半分反対なのだけれど、それを彼女にぶつけて確かめてみるには
一番よさそうな素材なんじゃないのかな。
「あがたオタとしてはこの二曲は“叙情詩”としていいと思うんだけど、率直に言ってどう?」って。
サブマリン(ヴァージンvs:乗物図鑑)
ある種のSFオタが持ってる少年少女向け読み物への憧憬と、あがた監修のオタ的な考証へのこだわりを
彼女に紹介するという意味ではいいなと思うのと、それに加えていかにもあがた森魚な
「イナガキタルホ的なださカッコよさ」を体現する怪盗紳士
「イナガキタルホ的に好みな男」を体現するはまなす博士
の二人をはじめとして、オタ好きのするキャラを世界にちりばめているのが、紹介してみたい理由。
コズミック・サイクラー/星空サイクリング(ヴァージンvs:star☆crazy/乗物デラックス)
たぶんこれを聴いた彼女は「うる星やつらだよね」と言ってくれるかもしれないが、そこが狙いといえば狙い。
この系譜の作品がその後続いていないこと、これがアニメEDでは大人気になったこと、
あがたなら自ら実写化して*5、それがアメリカに輸出されてもおかしくはなさそうなのに、
日本国内でこういうのがつくられないこと、なんかを非オタ彼女と話してみたいかな、という妄想的願望。
いとしの第六惑星(永遠の遠国)
「やっぱりフォークは大人のためのものだよね」という話になったときに、そこで選ぶのは「大寒町」
でもいいのだけれど、そこでこっちを選んだのは、この作品にかけるあがたの思いが好きだから。
断腸の思いで削りに削ってそれでも11分1秒、っていう尺が、どうしても俺の心をつかんでしまうのは、
その「捨てる」ということへの諦めきれなさがいかにもオタ的だなあと思えてしまうから。
いとしの第六惑星の長さを俺自身は冗長とは思わないし、アルバムの1曲としてはもう削れないだろうとは思うけれど、一方でこれが
拓郎や長渕だったらきっちり5分にしてしまうだろうとも思う。
なのに、各所に頭下げて迷惑かけて11分1秒を作ってしまう、というあたり、どうしても
「自分の物語を形作ってきたものが捨てられないオタク」としては、たとえあがたがそういうキャラでなかったとしても、
親近感を禁じ得ない。曲自体の高評価*6と合わせて、そんなことを彼女に話してみたい。
僕は天使ぢゃないよ(あがた森魚監督・主演の映画)
今の若年層で僕は天使ぢゃないよを見たことのある人はそんなにいないと思うのだけれど、だから紹介してみたい。
稲村ジェーンよりも前の段階で、ミュージシャンが映画に手を出す哲学とかサントラ技法とかはこの作品で頂点に達していたとも言えて、
こういうクオリティ*7の作品が映画館でこの時代にかかっていたんだよ、というのは、
別に俺自身がなんらそこに貢献してなくとも、なんとなくあがた好きとしては不思議に誇らしいし、
いわゆる音楽でしかあがたを知らない彼女には見せてあげたいなと思う。
第七東映アワー(第七東映アワー)
あがたの「目」あるいは「物語づくり」をオタとして教えたい、というお節介焼きから見せる、ということではなくて。
「終わらない仮想世界を毎日構築する」的な感覚がオタには共通してあるのかなということを感じていて、
だからこそフィクション版『第七東映社史』ブックレットの主役は堅言多悶以外ではあり得なかったとも思う。
「祝祭化した日常を生きる」というオタの感覚が今日さらに強まっているとするなら、その「オタクの気分」の
源は第七東映アワーにあったんじゃないか、という、そんな理屈はかけらも口にせずに、
単純に楽しんでもらえるかどうかを見てみたい。
バンドネオンの豹(バンドネオンの豹)
これは地雷だよなあ。地雷が火を噴くか否か、そこのスリルを味わってみたいなあ。
こういうジュベナイル小説風味の冒険をこういうかたちでアルバム化して、それが非オタに受け入れられるか
気持ち悪さを誘発するか、というのを見てみたい。
TAMIYA2(田宮二郎の純情)(雷蔵:雷蔵参上)
9作品まではあっさり決まったんだけど10作品目は空白でもいいかな、などと思いつつ、便宜的に田宮二郎の純情を選んだ。
赤色エレジーから始まって田宮二郎の純情で終わるのもそれなりに収まりはいいだろうし、ワールドミュージックへ傾倒する以降の無国籍音楽時代の先駆けと
なった作品でもあるし、紹介する価値はあるのだろうけど、もっと他にいい作品がありそうな気もする。
というわけで、俺のこういう意図にそって、もっといい10作品目はこんなのどうよ、というのがあったら
教えてください。
「駄目だこのid:Ri-fieは。俺がちゃんとしたリストを作ってやる」というniiyanPは大歓迎。
こういう試みそのものに関する意見も聞けたら嬉しい。
まるで釣りのようなタイトルだけど、語り継ぐべき名曲*8に乗せた名作。
※49「ぶはは、のびてねえw でもそれがいいw」的確すぎる。ああそうそう、ヴァージンvsではあがた森魚じゃなくて「A児」なんだけど、まあいいや。
niiyanPによるあがた×真三部作の(現時点で)ラスト。何となく真ってコーラスのひかるに被るんだ。
追記も改変してみた
私だったらタイトル選んで紹介されるより、一緒にツタヤ行って「どのへんいけそう?」とか聞いて自分で選ばせてほしいな。
何選んでもバカにしないで、内容解説してくれたら彼を尊敬する
最終的に狙うのは、まさにその状態ですね。
このセレクションのキモって、「赤色エレジー」のところで書いているように、あくまで
「オタクが非オタのためにどこまでオタ臭を出さずにあがた森魚を説明できるか」
そのコミュニケーション力テストの意図なんですよ。
『脱オタクファッションガイド』と方向性は真逆だけど、狙っていることは同じ。
それができそうなのが私の場合この10作品ということであって、シチュエーションとしては彼女の方が
「ちょっとあがたのことが知りたいんだけど、何を聴いたらいい」と聞いてきた場合を想定しています。
赤エレのほうがディープそうで引く(゜Д゜)!
そこをディープさを感じさせずに聴かせられなかったら、なんのためのオタクだよと。
目指せ萩原さん*9!という気概で。
百合コレよりウインター・バスストップの方が口当たりは良さそう。
他に恋のバカンスやサイレント・イヴ(長いが)等のカヴァー物も無難かな。
『ウインター・バスストップ』は頻繁な女性コーラスが人を選びそうなので、それよりは正統的な歌詞の百合コレを。
女性の持ち歌のカヴァーはいいと思うんですね。恋バカは最終候補に残しましたし、『禁句』も
中森明菜との比較という点で、長くなければぜひ入れてみたかった。
(10作品目からイミテーション・ゴールドの収録曲を外したのは、90年代あがたので一番非オタにとっても聴き応えのあるものだと思うがゆえに、
逆にここに入れなくてもいいかなという理由で)
あがたよりイナガキタルホを先に読ませてはどうか?35年以上のあがたの歴史を続けて聴くのは辛いと思う
あがたで行くなら彼女の好きな物の系統にそったから攻めるべきだと思う
あえて『僕は天使ぢゃないよ』以外は原作のない曲を並べたんですけどね*10。
赤色エレジーもサブマリンもコズミックうる星も、オリジナルの範疇でしょう*11。
だから僕は天使ぢゃないよに乗り気じゃなかったのかな俺は。
連続ものについては、なにも短期集中でなくともいいと思う。
興味がなくなれば自然と聴かなくなるし、逆に興味が出れば自分から聴きたがるもんだろうし、
そこそこなら忘れないうちに続きをゆっくり聴けばいいんだし。
後段については、それ故に「彼女の方から言い出した」という設定にしているというのもありますね。
彼女が積極的に興味のないものを、いかにオタ的暑苦しさ鬱陶しさを抜きにして、かつ
オタ世界の魅力をあっさりと受け入れてもらうか、そのセールストーク的コミュニケーション訓練が主眼ですから。
基本は「脱オタ」方向なんですよこれ。
「あがたオタが聴かせたいもの」と「非オタが受け付けるもの」の間には、どこかに根本的な差があるような。
これってまさにその確認をするための作業なんですよね。
もしそこで「差がない」と思いこんでしゃべったら、たぶん破局一直線だろうし。
むしろ、差があることを認めてこそ、オタと非オタが相互に肯定しあってうまくやっていけるんじゃないかと
そういう期待はあるんですけどね。脱オタとは、オタをやめることではないと思ってます。
と
返事も含めて全部改変してみたかったけど、タイムリミットになったので、ここまで。つうかこの元増田のバイタリティに惚れた。
*1:蓄音盤の初版
*2:乗物図鑑の初版。ただし「乗物デラックス」の解説文には500枚とあり、実際のところは不明
*3:永遠の遠国LP
*4:というか、すべてCD化されたので、わざわざ手を出す必要もなくなった。それよりも、後になって気づいたけれど雷蔵参上とか第七東映アワーとかが廃盤になっているっぽいね。こちらの方が今は過大な負担になるか
*5:うん、見てみたい。もちろんあがたオタ的に
*6:日産・ラシーンのCM曲『キットキット!!遠く遠く!!』は、CMプロデューサーが『いとしの第六惑星』のような曲をつくってください、と依頼した
*7:見終わった後、頭に大量の?マークが浮かぶという意味で。しかし実のところ僕は、そんな稲村ジェーンを90年代邦画の最高傑作だと思っている。DVD化してくれ。マジで
*8:こういうことをしれっと書くから、あがたオタは度し難い