新規のお店に行くということ


それがいいことかどうかはともかくとして。

友人知人などの推奨でもない限り、新規のお店、ましてや常連同士で固まりやすい、個人経営の居酒屋を開拓するのって、本質的には結構難しいことだし、
そういう情報がないならば(ないからこそ)、勇気を出してえいやっと飛び込んでは、当たったり外れたりしながら開拓していくのが、一つの面白さというか、楽しみでもあると思う。

だから、開拓するときは、1人か、気心の知れた少人数でやるのがいい。
外れだったときの被害を最小限に食い止めるという意味もあるし、
外れなら外れで、「あの店は合わなかったね、外れだったね」と、内輪の笑い話として消化できるからだ。
言い換えると、外れをつかんだときに、笑い話にできないような相手と、新規開拓してはいけない。
ましてや、大事な人を連れて行くなら、どこの誰かも知らない人間がつけた評価なんて、絶対に当てにしてはいけない。

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さて。

もう食べログは信じない
を読んだ。

一読して、追い出された理由に関する、書かれていない情報も多そうに感じたので、店主・店員や常連客に対して思うところは特にない。
ただ、本当にここに書かれた通りならば、この店はいずれ死ぬ。
一見さんを冷遇するような常連をつけてしまった店の前途は、死ぬ以外にないからだ。

それはさておき。
食べログを信じたことが、この書き手の一番のしくじりかというと、そうではなくて、
もちろん、食べログをはじめとする口コミサイトの情報自体、信じるに値するものではないのだけれど、
このケースの場合、「新規店に飛び込む」という行為に対する覚悟を持っていなかったことが、悲しい思いをした原因だと思う。

全体的に見れば、食べログとかの口コミサイトによって、新規開拓の敷居も、外れを引く確率も下がっているのだろうけれど、
じゃあ、実際にお店に入ってみて、実際どうなのかとなると、
冒頭に書いた通り、本質としては、飛び込みと何ら変わりない。

なぜなら、書かれている口コミなんて、誰が、どんな感情や意図を持って書いたかも分からないし、
読み手がどういう好みを持ち、
どう使いたいかを知って書いてくれているわけでもないからだ。

そもそも、口コミサイトの情報だけでお店の全てが分かるかといえばそうではなく、
来店した時間帯とかそのときの客層とか(この例でいえば、常連が一人もいないタイミングなら、どうだったろうか)、
あるいはお店の仕入れ状況や、その日に入っているアルバイトの質、さらには店主・店員の気分や体調なんかでも、
印象や感想は全く異なってくるだろう。

もっというと、そういう種々雑多なベクトルを持つ情報を、ただ1つに集約させる「点数」という評価値は、
ちょっと前に騒動になった点数の重みづけやら金で買う云々という以前に、
評価値として、意味のないものだと認識している。


話を戻すと、先の書き手に対していうならば、

どれだけ口コミの集積しているお店だとしても、
どれだけ評価が高そうに見えたとしても、

初めて行くお店はやっぱり初めて行くお店であり、
外れを楽しみ、仲間内で笑い話に昇華する覚悟を持つべきだったのだろう、と。

だから、今回の不運は、食べログを信じたことでも、追記にある

タイトルは「もう個人経営居酒屋は信じない」が適正ですかね?

でもなく、
「外れたときの覚悟を持っていないのに新規のお店に飛び込む」という、性格に合わない行為をしたことが原因なのだと思う。

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あとは余談。

こういう話の流れで、
食べログなどの口コミサイトは、営業時間や所在地を確認するもの」
と言う人がいて、それは95%正しいのだけど、
実家の食堂が、食べログでは営業時間と定休日が間違えられていて、Rettyに至っては、加えてアクセスの記載もでたらめだということにこの前気付いたので、100%信じない方がよいようです。
誰かが親切心で書いてくれたであろうことは分かるので、その気持ちには感謝申し上げたいのですが……。