『世の中には、天性の「イジメ上手」がいる。 - 琥珀色の戯言』に対し、訂正をお願いし続けていることについて。

id:fujiponさんへの私信に近いです。
※コメント欄でなく、エントリに起こしたのは、1年半も前のエントリに改めてコメントをつけるのも、ちょっと違うと思ったから、また、その方が読みやすいと考えたからです。
※訂正を求め続けている理由については、後段の「誰が、どうして妬んだの?」に詳しいです。

はじめに

まず、当該エントリである2010-07-29のコメントにも記しているように、

なお、世の中に「イジメ上手」ってタイプの人間がいるかもしれない、という考察と、最後のメッセージに対しては、全く異論はございません。

ということはOKかと思います。

その上でのお話です。

事実誤認に関する整理

id:fujiponさんは、エントリの中で、「イジメを利用して他人を支配する技術」として、以下のような例を挙げています。

世の中には、「イジメ」というのを「他人を支配するための技術」として使うタイプの人がいる。

知り合いの劇画原作者に聞いた、ある病院での話。

そこの病院の某科部長は、新しくやってきた研修医のうちのひとりを、いつも「標的」にしていた。

カンファレンスでは、そいつがプレゼンテーションをするときには、これみよがしに厳しい質問をして、「お前はバカだ」と徹底的に責め立てる。

その一方で、他の研修医には、そんなに酷く突っ込みを入れずに「次までにちゃんと勉強しておけよ」と手加減してやる。

すると、どうなっていくかというと、

「ターゲットにされた一人を除く研修医」たちは、みんな、その部長を好きになるのだ。

アイツはいつもイジメられているけど、それはアイツが無能だからだ。ちゃんとすれば、あの人は優しくしてくれる。

そもそも、もし逆らったりして、自分が標的にされたら、大変だし……

そして、彼らは、部長と「仲良く」「和気あいあいと」して、「あそこの科は、いつも仲がいいねえ」なんて、病院の偉い人から一目置かれる。

傍からみれば、研修医に大きな能力の差なんて存在しない。

当たり前だ、まだ医者になって何カ月かの連中に、そんなに差がつくはずもない。

でも、部長は、その「接しかた」で、いかにも差があるように思いこませることができる。

「標的」には、人づき合いがちょっと苦手なヤツとか、口下手な人間が選ばれる。

周りの人間が、その人をいじめることに反発するような人間は、絶対に選ばれない。

ジャイアンは、「イジメっ子」であるために、世界と戦わなければならない。

しかしながら、部長は、ただひとりの「標的」を作りつづけることだけで、他人を支配することができる。

ジャイアンは、「乱暴者」として、社会から孤立する。

部長は、「人心掌握術に長けた人」として、社会から評価される。
(以下略)

次に、デーブ氏の話を持ち出します。

デーブ大久保というのは、あんなふうに見えて、実際は、「イジメの技術」を利用して世の中を渡ってきた人なのではないか、と僕は思っている。

イジメられていたのが、抽選の末にようやく西武が引き当てた、ドラフト1位のゴールデンルーキーだというのも、いかにも、という気がする。

傍からみれば、「注目される選手をイジメるなんて、バカじゃないの?」という印象なのだけれども、西武というチームの中からみれば、「高い契約金をもらって、マスコミからも注目されている、妬ましい異物」でしかない。選手たちのそういう気持ちを、大久保という男は、ちゃんと知っていたのだ。

そして、訊くところでは、そのルーキーは、真面目で責任感の強い人だそうだ。

彼は、どんなに酷い目に遭わされても、「プロの世界とは、こういうものなんだ」と自己判断して、追いつめられていたのではないだろうか。

もちろん、デーブ大久保は、相手が反撃できないことなど、百も承知。
(以下略)

この話を並列に扱うということは、id:fujiponさんが、

○「ターゲットを定め、そのターゲットを継続的にいじめることで、人心を掌握する某科部長」に対応するのはデーブ大久保氏である
○「ターゲットにされた研修医」に対応するのは菊池雄星である
○「ターゲットにされた一人を除く研修医」に対応するのは埼玉西武ライオンズのチームメイトである

と考えているのだと読み取れます。つまり、デーブ大久保氏が、チームメイトの人心掌握のため、菊池雄星スケープゴートにしてイジメたのだ、とid:fujiponさんが認識していると判断しました。

しかし実際のところは、「ソースは東スポ」という、ちょっと危ういソース(大元のソースにはたどれていないので注意)を併用しても、

○(菊池雄星ではない)某選手はデーブ氏とソリが合わず、また報復を恐れて練習に出なくなっていた。デーブ氏からパワハラを受けていた可能性があるのは、この某選手と思われる(パワハラがあったとして、デーブ氏がパワハラと認識していたかどうかは不明。指導の延長と考えていたかもしれない。もちろんその場合、それはデーブ氏の免罪符にならないが)
○高額な罰金制度は、選手会からの反発が強かった(id:fujiponさんがブックマークコメント中で提示されていた、デーブ氏による後日談2011-06-28を読んでも、罰金制度が誰によって、どう運用されていたのかは不明)
菊池雄星は、「『イジメ・パワハラ』や『罰金制度』についてチクッた」とデーブ氏に思われて、あるいは他の理由も相まって? ある日*1暴力を振るわれた(実際に菊池雄星が球団へ報告していたのかは不明)。

というのが、当該エントリを書かれた2010年7月29日までに、報道などで伝えられていたことではないかと思われます。
菊池雄星はデーブ氏とケンカこそすれ、「デーブ氏から継続的にパワハラを受けていた」という話も、「デーブ大久保氏が人心掌握のため、菊池雄星スケープゴートにした」と推測できるような話も見あたりません。
付け加えるならば、今に至っても、上述のような傍証は出ていないのではないでしょうか?

誰が、どうして妬んだの?

一番の問題点と考えるのは、当該エントリで書かれていた、以下の部分です。

傍からみれば、「注目される選手をイジメるなんて、バカじゃないの?」という印象なのだけれども、西武というチームの中からみれば、「高い契約金をもらって、マスコミからも注目されている、妬ましい異物」でしかない。選手たちのそういう気持ちを、大久保という男は、ちゃんと知っていたのだ。

つまり、id:fujiponさんは「埼玉西武ライオンズの選手は、菊池雄星を『高い契約金をもらって、マスコミからも注目されている、妬ましい異物』と考えている」と推測されていますね。しかし、その推測の根拠はありません。

これは、
○「ターゲットにされた研修医」に対応するのは菊池雄星である
という、誤った認識から導かれているのではないでしょうか。

で、何が問題かというと、つまりid:fujiponさんは、知られている事実に基づかず、埼玉西武ライオンズの選手に対し、「菊池雄星を『高い契約金をもらって、マスコミからも注目されている、妬ましい異物』と考えるような人間である」というレッテルを貼っているのです。
「異物」とは何ですか「異物」とは。

それゆえに、何度も「事実誤認があります」と、コメント欄などでお伝えしているのです。

id:fujiponさんは
突然、僕は殺人犯にされた
というエントリを書いていますが、埼玉西武ライオンズの選手からすれば、

「突然、僕は菊池雄星をいじめた共犯者にされた」
「突然、僕は『プロで何の実績も出していない、しかもケガをして苦しむ菊池雄星に嫉妬し"異物"扱いしているという、心の小さい人間』にされた」

と言いたくなるのではないでしょうか。

以下は余談につき無視していただいて結構です

余談ですが、そもそも、デーブ大久保氏がここでいう某科部長のような「イジメ上手」だとは、僕は到底思えないのです。

部長は、「人心掌握術に長けた人」として、社会から評価される。

とありますが、デーブ氏が人心掌握術に長けていたかというと…。一軍の打撃コーチ時代も、本来はしっかり心をつかんでおくべき数人の主力選手から嫌われていたという話も伝わっています。仮にイジメを人心掌握として使っていたとしたら、その割には効果が上がってないなあ、と。
同じく伝聞ながら、暴行事件以前にも、プロ野球関係者でデーブ氏を嫌う人もぼちぼちいたようですし。

また、後付けになりますが、このたびデーブ氏は楽天のコーチに就任しました。イジメを人心掌握術として使うような(しかも、もしそうだとしたら、見事に失敗した)人間を、果たして楽天球団は雇用するだろうか、という疑問もあります。さすがにこのあたり、きちんと周辺調査するでしょう。
楽天球団は、あくまで「熱血指導」が行きすぎた、という認識であり、コントロール可能と判断したのかもしれません。先述のエントリ2011-06-28をそのまま信じれば、まあ熱血指導の範疇ですし。

余談ついでに。

「工藤さん(公康、2010年シーズンで戦力外)が雄星を食事会に誘って、僕が雄星の希望した日に寿司屋を予約したんですよ。そしたら、別の予定が入ったから欠席しますと言って、平気な顔してる。あのな、先輩やコーチに対してそういう態度はないだろう、工藤さんに謝っとけよって言ったんだけど、雄星はこたえたふうがない。逆に、なんで自分が謝らなきゃいけないのか、と思っていたようですね」

については、先述の東スポに関連する記述があります。以下抜粋。

二軍では大久保前コーチと工藤が中心となり、休日前日に投手陣の食事会を開催していたのだが、資金は大久保前コーチが選手から集めた罰金。その食事会に雄星は最初の数回出ただけで参加しなくなった。
話題がその場にいない者の悪口ばかりになることに嫌気がさしたようで、雄星が参加しないことに大久保前コーチは「工藤さんの顔を潰した」と気分を害したという。

デーブ氏の言う「食事会」がこれならば、菊池雄星だけでなく、いろんなチームメイトにも希望日(希望場所)を聞き、何人も出席していたのでしょうし、「いない者の悪口大会」に嫌気がさして、「一人だけなら」と欠席し、平気な顔をしていたのも、もっともなことかな、とも思われます。
工藤氏・デーブ氏・菊池雄星の3人だけの食事会であるなら、「平気な顔してる」のはちょっとまずいかもしれませんが、今の時代、まずいからといって、殴っていいというものでもないでしょう。
しかし、いずれにしても重要なのは、
「平気な顔してる」
「こたえたふうがない」
「逆に、なんで自分が謝らなきゃいけないのか、と思っていたようですね」
は、すべてデーブ氏から「そう見えた」のだ、ということです。
ま、本当に「平気」で「こたえてなく」て「何で自分が謝らなきゃいけないのか、と思っていた」かもしれませんが、どちらにしても、私が訂正を求め続けている話とは全く関係ないことではあります。

私の本音

「別にデーブ氏のことなんて触れなくても、某科部長の話と最後のメッセージだけで、id:fujiponさんの思いは十分に読者へ伝わるのになあ。もったいないなあ」てなところです。

おわりに

このエントリ中の「某選手」は昨年、二つ目の所属球団から戦力外通告を受けました。デーブ氏との確執がどの程度影響していたのかは分かりませんが、いずれにせよ、残念でなりません。次の球団が決まるにしても、別の進路を歩むにしても、これからの活躍を心より祈念しております。
また、デーブ氏は楽天ゴールデンイーグルスの打撃コーチに就任いたしました。私はデーブ氏の打撃理論や戦術眼について、一定の評価をしています。今後はトラブルなどを起こさぬよう、活躍されることを期待しています。
菊池雄星選手も、一時はデーブ氏の裁判に証人としてシーズン中でも出廷させられる…などといった可能性が取りざたされていましたが、デーブ氏が訴えを取り下げたことにより、より野球に集中できる環境になったことと思います。昨年の4勝を上回る活躍を待ち望んでいます。

*1:2010年7月11日