面白いもの・ことをつまらなくする方法

おしえないでせんせいさん

アイマスMADに限ったことではないのですが、何か「面白いもの・こと」があったとして、その面白さを分析した文章って、読んで面白いものですか? 僕は、あまり面白いとは感じません。
いちばん単純で直感的な例はジョークです。いくら面白いジョークがあったとして、そのジョークの面白さを分析・解説した文章って、元のジョークより面白くなることはなさそうですし、だいいち、興ざめじゃないですか。

今でも思い出すのが、高校のときの、リーダーの授業。
教科書の中に「アメリカンジョークで英語を学びましょう」という章がありましてね。二つか三つぐらい、ちょっと長めのアメリカンジョークが例文として出ていたのですが、そもそもかなり砕けた調子の口語で書かれているからちっとも意味が読み取れない上に、さらにはエスニックジョーク、しかも「イングランド人とアイルランド人とスコットランド人ネタ」なんてのもあったりして。
こんなもの、グレートブリテン島はみんな”イギリス”だと思っているようなおバカな高校生ども(ラグビーヲタは除く)に、イングランド人とスコットランド人とアイルランド人のステロタイプの違いなんて分かるわけもなく、みんなでアメリカ横断ウルトラクイズの早押しハットをかぶったみたいに、頭上に?マークを浮かべながらうんうんうなっていたわけですよ。

そうしたら、先生が気をつかっちゃってね。よせばいいのに「このアメリカンジョークは何が面白いか」を解説してくれちゃうわけです。ああもうばかばかばかっ! せんせいのばか! ジョークを解さない人間なんて放っておけばいいのに。これは世界共通、どこへ行っても通用する常識じゃあないですか。なんというマヌケっぷり。いってみれば、

Son: Dad, what is an idiot?
Dad: An idiot is a person who tries to explain his ideas in such a strange and long way that another person who is listening to him can't understand him. Do you understand me?
Son: No.

並にマヌケ。ああ、でももしこれが教科書で出てきていたら解説が必要だわ。だって構文が訳分からないもの。出てこなくてよかった。

話が逸れました。アイマスMADを見ていて「これは面白い!」と思うことって、よくあるわけです。で、「何で面白いか」も考えます。でも、これを文章化して、他人に語るって、どうなの? 面白いものは面白いでいいじゃないか、と。「どこが面白いか」なんて考察した文章なんて、自己陶酔以外の何でもないわけですから。

だいたい、僕が思うところの「面白さ」の理由なんて、みんな分かっている訳ですよ、実際のところ。言ってみれば、みんなが常識として知っている内容を「これ雑学な」ってしたり顔で語るようなものです。痛いじゃないですか。痛々しいじゃないですか。顔から火が出るじゃないですか。そんな恥ずかしい文章を書かされる身にもなりましょうよ。
もちろん、その興ざめっぷりや痛々しさを笑いに変えるという手法はアリとしても、これの方がよほど難しい技術ですし、すべったときの、よりいっそうの痛々しさったら! ああ、考えただけでも総毛立つというものです。

これくらい前フリしておけばいいでしょう

ということで、僕の好きなアイマスMADについて、「なんで好きなのか」「なんで面白いのか」と考えたことを、少し書いてみたいと思います。

みんなが直感的に分かっていることを、わざわざ言葉という、まわりくどい道具を使って長々と記す。まさに上記のジョーク以外のなにものでもありません。が、なんていうか、素敵な動画をつくってくださるプロデューサーへの、ラブレターを、書いてみたいのです。下手くそで、不器用なラブレターを。有史以来、ラブレターとは痛々しいもの、と相場は決まっているのですけれどね。

僕はマヌケなのです。救いようがないくらいに。