思いは多分そんない違わない、という話

宮崎県口蹄疫は4/20の発生から19日間で6万頭殺処分決定のパンデミック規模(その8)「国が全額補償」報道のウソ 単なる赤松農水相のパフォーマンスを大々的に報道 県が先払い、国と県との負担割合は不明、財源は明示されず、現在作業が滞っている最大の元凶「家畜を埋める場所」確保のための国有地提供などの決定はいっさいなく「検討」だけの空手形: 天漢日乗
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Ri-fie 農業, メモ 人畜共通感染症ならともかく、殺処分地の確保は優先順位が低いからしゃあない。嫌がる住民もいる/各種補償は、孤独な戦いを強いられている農家さんにとって心の支え。少しでも休まりますように/早い終息を願う。 2010/05/11

id:naya2chan 口蹄疫 殺して終わりというわけではない。埋設しないとウィルスがハエなどで媒介されるので、埋設地の確保は危急の課題だと思うんだけど。優先順位が低いと言っている人の感覚がわからん。 2010/05/11

※ああ、これは言葉が足りていない。「人畜共通感染症ならともかく」ではなく、「人畜共通感染症の緊急性と比較すれば、まだ若干優先順位が低い」である。また、殺処分地の確保じゃなくて埋設地の確保だし、埋設地が確保できなければ殺処分も難しいのはもちろんだ。

はてなブックマーク - はてなブックマーク - 宮崎県口蹄疫は4/20の発生から19日間で6万頭殺処分決定のパンデミック規模(その8)「国が全額補償」報道のウソ 単なる赤松農水相のパフォーマンスを大々的に報道 県が先払い、国と県との負担割合は不明、財源は明示されず、現在作業が滞っている最大の元凶「家畜を埋める場所」確保のための国有地提供などの決定はいっさいなく「検討」だけの空手形: 天漢日乗

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Ri-fie id:naya2chan人畜共通感染症に比べ優先順位が低いのは当然では?いくら国有地でも近隣住民と調整せねば勝手に決められない。ハエが媒介?そうだとしても移動距離数百mのハエは人や車ほどの脅威でない。 2010/05/11

id:naya2chan 人が死ぬような感染症よりは優先度は低いだろうが対策が遅れていい理由にはならない。埋設地の確保が移動制限と相反するものでもない。消毒剤の確保もままならぬ状況で制御できないリスクを増やすのも得策ではない。 2010/05/11
id:vid 感染力が強いために周囲の畜産農家に壊滅的被害が広がる可能性や、海外の日本畜産物輸入規制、人間の海外渡航が拒否される可能性など、全体として決して優先度が低い問題では無い。国の国民の財産を守る義務は? 2010/05/11


家畜伝染病予防法に基づき、できる限り早く対象家畜は殺処分・埋却するのが望ましい。上に引用した方の言うように、弊害も多大だ。言うまでもない。その意味で、全く意見を相違するものではない。
しかしながら、これだけ処分予定頭数が増えてしまえば、当然、殺処分・埋却・消毒までに時間がかかる。パソコンのデータを消すのとは訳が違う。処分候補地を選定し(勘違いでなければ、基本的に当該農場内または隣接地に埋却されるはずだ)、近隣住民に同意を取り付け(恐らく畜産県の宮崎なら、理解は得やすい、と信じたい)、穴を掘り、畜体を殺処分し、埋却地まで運搬し、土を入れて、消毒しなくてはならないからだ。

県内で口蹄疫が発生した農場や施設は10日までに67カ所に拡大し、殺処分する豚や牛の総数は7万6000頭を超えた。ただ、計67カ所のうち、家畜の殺処分と埋却が終了したのは21カ所の約1万頭にとどまっている。家畜を殺処分する獣医師らが足りないことや、一部で埋却地が決まらないために殺処分できない状況に陥っているためだ。

http://www.nikkei.com/news/local/article/g=96958A9C93819891E3E2E2E0E08DE3E2E2E7E0E2E3E29E8A93E2E2E2;p=F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2;n=9694E3E4E3E0E0E2E2EBE0E0E5E2;o=F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2
噂の日経からの引用だけど、こんな怪しげなアドレスでリンクされるんだろうか…?

だが、これが、もし鶏インフルエンザのような人畜共通感染症だったなら、どうだろうか(口蹄疫も、超濃厚感染すればヒトも軽く発症するようだから、人畜共通感染症といえば、そうかもしれないが)。家畜を飼養していない一般住民からも「早く処分しろ」「安全を確保しろ」「子どもが病気になったらどうする」…etc.の大合唱だろう。

その意味で、あくまで「人畜共通感染症と比べて」なら優先順位が低いのは当たり前だ。人畜共通感染症なら最優先中の最優先だからだ。もちろん、それでもリソースの限界は必ずどこかで出てくるが。

今回の口蹄疫対策の中で、優先順位が低いという意味ではない。

また、口蹄疫は移動制限が解除されるまで、移動制限措置が取られる。

発生農場から半径10km以内における移動制限(生きた偶蹄類の家畜やその死体等の移動を禁止、と畜場及び家畜市場の閉鎖等)

感染していない家畜の死体も運搬できないのであり、これが口蹄疫患畜および疑似患畜なら、もっと大ごとだ。
元記事では、国有地がどこにあるか分からないが、もし、かなりの距離があるならば、移動に際しては、バイラスが拡散しないように、細心の注意が必要であり、特に移動途中の農場に対しては、絶対の安全性と、理解とを得ることが必要となる。時間がかかってしまうのは、仕方がない。
しかし、繰り返すが、これが人畜共通感染症なら、一刻の猶予も許されないだろう。

なぜ、人畜共通感染症は最優先中の最優先かといえば、人の死ぬ確率が高まるからだ。それは、近隣住民も。

農家さんも。

農家さんにとって、飼養している家畜は自分の半分だ。殺処分は身の切られる思いである。嫌な話だが、今回の当該農場の中には、飼養をやめる方もいるだろうし、場合によっては離散してしまうかもしれない。(BSE騒動の際はあった。本当に残念だ)

しかし、もう一つ、同じぐらいに耐えられないことがある。それが、消費者からの信頼を失うことだ(しかも、それは当該農場にとどまらない)。それは、物理的(相場や消費量がガタ落ちする)にも、精神面でも耐え難いことなのだ。
もし、人畜共通感染症で、殺処分が進まなかったら、間違いなく糾弾される。リソースの限界などで仕方ないことだとしても、糾弾される。

口蹄疫では、その消費者からの糾弾が、人畜共通感染症ほど強くない。そこがまだギリギリの救いなのだ。

客観的に見て、僕の「優先順位が低い」とか「ギリギリの救い」とかいった言葉は閾値がおかしい。

閾値がおかしい理由。
それは、BSE騒動の際、発生とは何の関係もないにもかかわらず、また、日本国内で出回っている肉を食べても変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に罹患する可能性はゼロに等しいにもかかわらず、消費者から酷い言葉を浴びせられ、「消えてしまった」農家さんを見たからだ。
もちろん、経済的に困窮していたが、それだけでないことを、僕は知っている。

詳細は書きたくない。

ただ、消費者からの信頼は、多くの農家さんにとって、救いなのだ。

人畜共通感染症は、その信頼を簡単に絶ってしまう。

その怖さを知っている。
だから僕の閾値はそこにあった。
ゆえに誤解を招いた。
もちろん、言葉も足りていない。
お詫びを申し上げる。
このエントリも言葉が足りていない。
お詫びを申し上げる。

こんなふうに終わるのも、どうかと思ったので、別の話を少しだけする。
「不作だとか、豊作で相場が崩れるとか、そういうことには慣れっこだ。いい時期もあれば、悪い時期もある。何かがダメなら別の何かで支えられる。金を借りて耐えることもできる。おいしいって、笑顔で喜んで食べてくれる人がいるなら」
一言一句同じではないが、そんな言葉を、農家さんから、昔聞いた。

一刻も早い終息と、農家の皆さんの、心の安静を願う。