シンクロの、一つの到達点 ねこP『アイドルマスター RISE』

iM@S KAKU-tail Party DS』で最も僕の心に刺さったのは3-C、ねこPの動画だった。


単品も上がっている。

初見の感想は、同じねこPの『涙のハリケーン』を正統的に進化させ、洗練させた作品だ、ということ。

そしてもう一つ感じたこと。
それは、単にダンスのテンポやリップをシンクロさせるのではなく、曲の起伏(ニュアンス)ときれいにシンクロさせている、ということ。
だから何度見ても見飽きない。麻薬的な動画だ。

ニュアンスシンクロの最高峰は、しーなPの『Do you know the magic?』だと(独断で)思っているが、『RISE』はそれに匹敵する、あるいはついに、この壁を乗り越えたのではないだろうか。

特に54〜55″「放課後の空〜」の前、曲のタメと振りのタメがきれいにシンクロしているのを最初に見たときは卒倒した。

キャプチャと妄想的感想

0′27″

イントロの、引いたカメラから、歌い出しとともに一気に寄る。カメラに向かって差し出した右腕と、まっすぐに見つめる双眸で、歌の世界−−千早の世界へと引き込む。

0′55″

Bメロへ以降するタイミングで舞台装置にズームアップ。ムービングライトの動きに合わせて千早をディゾルブ。こんな大胆なカメラワーク、現実ではなかなか見られない。舞台装置や機材なんて、普通は絵にならないし、照明なんかを直接カメラで狙ったら、絞り調節も難しいからだ。だからこのシーンは、『IDOLM@STER』という世界だからできるカメラワークだ。
そして、舞台照明という、太陽のように輝きながら、しかし偽りの太陽でしかない存在が、歌詞の世界観とシンクロする。

1′13″

AメロとBメロは強拍・中拍のみでリズムを刻んでいたのだが、サビに入ると同時に、カメラワークも含めて4拍すべてでリズムを刻みはじめる。
キャプチャしたのは、次のメロディの歌い出しからカメラワークでテンポを取りはじめる、2拍前。メロディの歌い出しの拍に合わせてカメラを大きく、その2拍裏で小さく動かしてテンポとシンクロさせるのだけど、その2拍前から、それよりも小さく動かして、メロディのシンコペーションに合わせるのと同時に、次からのカメラワークを予告し期待感を煽っている。

1′33″〜35″


僕は初見でこのシーンに最もしびれた。いや、魂を吸い取られた。
サビの主題が2回繰り返された後、収束させる4小節のフレーズ。目を閉じ、右こぶしで胸を軽く2回叩くんだけど、ここではじめて、キーボードのコードにシンクロさせて、4つ打ちの裏を取る。そして次の強拍で急速にズームアップ。その次の中拍にまゆをきりりと軽くつり上げて画面を引き締めた後、その緊張感をスローモーションで一気に解放する。

細けぇことは(ry

上では細かいことを書いたけど、基本的に「弱い」曲調(音程が低い、メロディラインの起伏が緩い)では振りやカメラワークも抑え気味に、「強い」曲調では振りつけやカメラワークも強いものを持って来て、ニュアンスとシンクロさせている。そしてそれだけではなく、「強い」シーンでは、前後に「弱い」振りをアクセントとして配置することで、振りやカメラワークの強さをさらに強調しているのだ。

しかも、ねこPはこれをゲーム中のステージだけで作り上げてしまった! 実はこういった、曲調とのシンクロは、765コマンドでモーションだけ抜き出し、好きな背景やエフェクトをつければ、そこそこは思い通りになる。そういったことをせず、ストイックなまでにニュアンスシンクロを突き詰める…。
そんなねこPに、僕は、最大限の敬意を払うことしかできない。
ただ、それでは締まらないので、最後に一つだけ、ねこPの動画に昔ついていたタグを、改めて贈りたい。

アイマスへの熱い思いにあふぅれるねこP」*1

*1:もしねこPが、昔ついていたこのタグを嫌いだったら、ごめんなさい