さすが日経さん、えげつないですなあ

3月12日、日経の社説。

景気と環境 エコカー普及で両立めざせ

 日本政府は来年度の税制関連法案に、燃費性能の高い新型車について自動車取得税などの減免措置を盛り込んだ。例えばホンダのハイブリッド車インサイト」を買う場合、購入時の税負担が10万円強軽減され、一定の需要喚起が期待できる。

 だが、個人消費の落ちこみは厳しい。税の減免にとどまらず、もう一歩踏み込み、購入の際の補助金支給を時限措置として検討できないか。

 その点で参考になりそうなのが「スクラップ補助金」と呼ばれるドイツの事例だ。独政府は1年間の期間限定で、車齢9年以上の古いクルマを廃車にし、新車に買い替える際に、2500ユーロ(約31万円)の補助金を支給している。効果は予想以上で、2月の新車販売は前年同月比22%増に跳ね上がった。

 日本でも車齢9年以上の古いクルマは全国で約2000万台ある。これを燃費性能が高く、排ガスもきれいな新型車に置き換えることは、環境対策の点からも意義は大きい。

要は、充分に使える車を手放させて、新車を買わせて金儲けするために、税金をよこせという、まあなんというか、下品というか。普段は税金の無駄遣いをああだこうだ言うわりには、自分の主張だったら臆面もなく、財源の考察なしに減税とか補助とか言えるその精神構造が分からなかったりするのだが。

それはそれとして。

車に関してなら、わざわざ補助なんてしなくても、車齢の古い車を手放させる、よい手がある。
古い車の自動車税増税するのだ。
現状でも、新規登録から11年(ディーゼル車)または13年(ガソリン車・プロパンガス車)を超えた車は、毎年支払う自動車重量税に10%加算されているのだが、論者の意見に合わせるならば、これを9年に引き下げ、さらに加算割合を50%ぐらいに引き上げればよい。

ついでだ。18年を超えた車はもう、100%加算してしまえ。

また、現在もグリーン化と称して、一定の基準を満たした新車は1年間、25%または50%税金を減額しているが、これを1年間、50%または100%減税してしまえばいい。もちろん財源は古い車の増税分を充てる。

厳密に計算していないので、足りないかもしれないが、財源を考えずに金を出せというよりはいくぶんマシだろう。

なあに、もともとの10%加算だって「燃費や排ガスの数値は無視で、古いなら何でもかんでも増税だなんて、乱暴極まりない!」とか「買い換えを促すための増税見え見え」とか「買い換え用の新車を製造する方が環境に負荷をかけるんじゃないの?」などとさんざんに言われていたし、実際その通りなのだろう。だったらいっそのこと、開き直ればいいではないか。あとはあれだ。「低燃費・排ガス低減車を応援します!!」とかいう方を全面的に押し出せば大丈夫。仮にちょっと騒がれたとしても、選挙では、間違いなくもっと重要な争点*1がクローズアップされるから、今こそまさに増税のチャンスだと思うのだけどな。


あ、ひと言。
いま僕が乗っている車は車齢18年。100%増税されてもニコニコ支払いますが、何か?

だって愛ですから

所有者が怒るって?気にしない、気にしない。

18年超の車に、いまだに乗っているような人のうち、脳内妄想だが、だいたい1/3ぐらいはまあ、「ふざけるな!」と激怒するかもしれない。だが、こと選挙で考えても、全体からすれば少数派だから、無視に限る。

別の1/3−−これも妄想−−は、気づいたらそんなに経っていた、とか、そろそろ買い換えようと思っていた、という感じではないだろうか。そういう人には、買い換えていただけばいい。

残る1/3は−−。
もし「車齢18年超の車は税金倍ね」と言われたら、うひひひひと涎を垂らして喜んで支払うような奴だ。「自分をひとまずの物差しにするのはいいが、その物差しを人に押しつけてはいけない」ということは分かっているが、間違いない。「好きで乗っています」「むしろ人間に対しては感じないような愛着を持っています」「コイツとじゃなきゃ、俺はダメなんだ」「もうキミとは離れないよぉぉおおお!!」って奴は多数存在する。

確かに最初はひるむだろう。だが、彼ら、彼女らはすぐに思い直す。
ああ、これは僕と愛車とを引き離すための、国家からの弾圧であり、いま僕は、アタシは、愛を試されているのだ、と。

そして、そんな弾圧に屈せず、税金を支払う僕。だって愛しているから(車を)。そんな僕って、ああ、ああ、なんてカッコイイんだろう!
卑劣な罠になんて負けないよ。それは(車への)愛ゆえに。そんなアタシって、ああ、ああ、なんてステキなんだろう!

こんなふうに、国家のお墨付きで勘違いできて、しかも、金で解決できるなんてチャンス、変態どもが逃すはずないじゃないか。

それで、ニコニコ現金払いで乗り続けるわけだが、一緒にお出かけするごとに、行った先でこう言われるに違いないよ。「あれ?ずいぶん懐かしい車じゃありません?」と。
そうしたらもう、待ってましたと言わんばかりにね、「ええ、そうなんですよぅ。もう20年落ちでしてねぇ」なんて返事するわけ。間違いなくこのとき、目尻も口端も下がりに下がって、見てらんないような顔になってるね。
ここで「おや、税金も上がったし、維持も大変ですね」なんて言われたら、グツグツよく煮えたすきやきの鍋に、まさにハシを突っ込もうかっていうようなときの、獲物を追いつめたハンターのような表情になって、「いやぁ大変ですよぅでもこのコがかわいくてね小さくてきびきび走るし燃費も意外と良くて今の車にも負けませんよいや確かに対衝突安全性なんて無いようなものですが要はぶつけなければいいわけですからねぇボディのメンテナンスにも気をつかいますがまあこれは言ってみればカワイイけど手のかかる女に引っかかったようなもので面倒は面倒ですけれどね磨かれた後のツヤなんてのはもうマーベラスでしてウヒィィィイイウヒウヒ……あ、あれ?ちょっとどこへ行くんですかアナタまだ話は終わっていないんですよ!ちょ、ちょっとチョット!!」なんてことになるのは必至でYouもう車と結婚しちゃいなyo!って、

……その手があったかッ!!

どうでしょう麻生さん!僕の車も登録から18年経っていますし、結婚を認めていただけるよう、法律をチョチョイと変えていただけないでしょうか!?多分、僕以外にも「車と結婚したい!」ともだえている人って多いと思いますから。世の中から変態をあぶり出す意味でも有効ですよ!

*1:政権選択